種類株式とは?
種類株式って普通株式とどこが違うの?
まずは普通株式について説明するわね!
一般的に「株式」と呼ばれているものは普通株式を指すわ。普通株式の株主は、株主総会を通して会社の経営に参加したり配当を受け取ったり、持っている株数に応じた権利を平等に持っているの。1つの株式に付与されている権利の内容は平等よ。
一方、種類株式は、株主が持っている種類株式の内容によってそれぞれ権利が異なるのよ。
権利が異なる??
たとえば、会社が剰余金の配当に関して普通株式よりも優先して配当を受け取れる種類株式を発行したとき、種類株式の株主は普通株式の株主よりも優先的に配当金がもらえるの。
ただし、優先的に配当金が受け取れる分、株主総会での議決権行使が制限される内容が加えられることもあるわ。
種類株式は単純に株主が得する仕組みではないんだね。
ところで、種類株式を発行する目的って何なの?
「さまざまな株主のニーズを満たしつつも、株主への柔軟な対応を可能にすること」が目的と言えるわね。
ひとくちに株主と言ってもいろいろな人がいるのよ。配当金には興味があるけれど議決権には興味がない人や、その逆もいるでしょ? 配当は行ってもよいけれど、経営には口出ししてほしくない株主がいる場合もあるわよね。このような場合、会社と株主の双方が納得できる内容で種類株式を発行すれば、お互いのニーズを満たせるわ!
種類株式の内容
種類株式の内容として定められるものは全部で9種類あるのよ。(会社法第108条第1項各号)
それぞれの内容を確認してみましょう!
種類株式の内容:
剰余金の配当 (会社法第108条第1項1号) | 剰余金の配当について優先配当を受けることができる。 また、全く剰余金の配当を受けられない等、剰余金の配当金額を普通株式よりも多くしたり少なくしたりすることができる。 |
残余財産の分配 (会社法第108条第1項2号) | 残余財産の分配について優劣等を決めることができる。 なお、剰余金の配当と残余財産の分配を一切受けられない内容の種類株式は発行できない。(会社法第105条) |
株主総会において議決権を行使することができる事項 (会社法第108条第1項3号) | 株主総会での議決権を行使できる事項を定めることができる。 一部の事項に関してのみ議決権を行使できないとすることも、全ての事項に関して議決権を行使できないと定めることもできる。 当該の定めがある種類株式は、一般的に議決権制限種類株式と言われている。 |
譲渡による当該の種類株式の取得について当該の株式会社の承認を要すること (会社法第108条第1項4号) | 譲渡による当該の種類株式の取得について、当該の株式会社の承認を要することを定めることができる。 当該の定めがある種類株式は、一般的に譲渡制限種類株式と言われている。 |
当該の種類株式について株主が当該の株式会社に対してその取得を請求できること (会社法第108条第1項5号) | 株主が会社に対して、取得している株式の買い取りを請求できるとの内容を定めることができる。 ※具体的な内容は以下(1)~(3) (1)株主が会社に対して、株式の取得を請求することができる旨 (2)会社が株式を取得することと引換えに交付する対価の内容(金額、個数、算定方法等) (3)株主が取得請求できる期間を定める必要がある旨 当該の定めがある種類株式は、一般的に取得請求権付種類株式と言われている。 |
当該の種類株式について、当該の株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること(会社法第108条第1項6号) | 定款で定めたある一定の事由が発生した場合に、会社が株主の同意なしに株式を買い取れるという内容を定めることができる。 当該の定めがある種類株式は、一般的に取得条項付種類株式と言われている。 |
当該の種類株式について、当該の株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること (会社法第108条第1項7号) | 種類株式を株主総会の特別決議によって、その全部を買い取れるとの内容を定めることができる。 当該の定めのある種類株式は、一般的に全部取得条項付種類株式と言われている。 |
株主総会等で決議すべき事項のうち、当該の決議の他、当該の種類株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とすること (会社法第108条第1項8号) | 株主総会等の決議の他、当該の種類株主総会の決議が必要とすることが可能と定めることができる。 取締役の選解任、取締役の報酬の決定、会社組織の再編等のさまざまな決議事項について、当該の種類株主総会の決議が必要と定めることができる。 当該の定めがある種類株式は、一般的に拒否権条項付種類株式と言われている。 |
当該の種類株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役または監査役を選任すること (会社法第108条第1項9号) | 種類株主総会で取締役や監査役を選任できると定めることができる。 なお、種類株主総会で選任された取締役や監査役を解任するには、同種類株主総会で決議をする必要がある。 当該の定めがある種類株式は、一般的に役員選任権付種類株式と言われている。 |
種類株式の発行方法
種類株式ってどうやって発行するの?
まず株主総会の特別決議で定款の変更を行い、「発行可能株式総数および発行可能種類株式総数」と「種類株式の内容」を決定してから種類株式の募集事項等を決定するのよ。
その後、種類株式の割当て等の手続きを経て、引受人が払込期日または払込期間内に募集種類株式の払込金額の全額を払い込めば発行されるわ。払込期日または払込期間の末日から2週間以内に登記申請をする必要があるわ!
普通株式だけを発行している会社が、株式の一部を種類株式に変更することもできるの?
できるわ!株主総会の特別決議で定款の変更を行い、「発行可能株式総数および発行可能種類株式総数」と「種類株式の内容」を決定してから、種類株式への変更を希望する株主全員と、普通株式に留まる株主全員の合意を得る必要があるわ。
ちなみに、普通株式に留まる株主に一切不利益がない場合は、普通株式に留まる株主全員の合意を得なくてもよいのよ。
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